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がじぇるね工房

作品タイトル:クラウドファンディング参戦記

表示名:飯島 幸太

クラウドファンディング参戦記

コンセプト・作品説明
クラウドファンディングによる商品化の経験談です。一般には「死の谷」と呼ばれる開発から製品化までの困難をどのように乗り越えられたか、記事として残していただきました。これから挑戦される方にぜひご一読いただきたい記事です。(by がじぇるね岡宮)
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はじめに

2015年から2016年にかけてクラウドファンディングを利用して「きらきライト®」を世の中に出すことを目標にルネサスエレクトロニクス様と一緒に製品化を目指してまいりました。その取り組みについて、「記事を書いてみませんか?」との声をかけていただきました。私としても、今後クラウドファンディングにチャレンジされる方や、製品化を目指される方、そして今回ご支援いただいた方に何か残せればと思い、これまでに歩んだ流れと思いを残してみることにしました。心の葛藤なども多少交えながら、今後クラウドファンディングにチャレンジする人やモノ作りを愛する人のヒントになりそうなことを書きたいと思います。本当にヒントになるかは別です。

 

 

 

クラウドファンディングへチャレンジするきっかけとなった「がじぇるねチャレンジプログラム」(2014/12)で発表した資料の一部。振ったり、回したりすると残像で見えるというもの。音にも反応する。

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アイデアの誕生(残像編)

2013年にスイッチサイエンスシリアル接続フルカラーLEDテープを見つけました。ソフトウェアの処理は手間でしたが、ハードウェアの配線が少なく、扱いやすい光デバイスでした。早速、中国のサイトでLEDチップを1000個(1リール)購入してオリジナル基板を作り楽しみました。当時基板設計に興味があり、毎月のように自分でデザインした基板を中国へ発注する日々が続き、おかげでこのチップLEDのはんだ付けは上達しました。

 

 

上記の写真は、基板の製造代金を安く仕上げるために小さい基板を10枚組み合わせて、そのLEDを120個使ったもの。(きらきライトではない。)

できた作品は他の人に見せたくなるのが私たちMakerです。作った作品は、ルネサスナイトや、Maker Faire Tokyo等のイベントで見せ合い、情報交換や意見をもらい、作品へフィードバックします。そんな活動の中で出会った、倉内氏の作品で残像に魅力を感じていました。そして、このフルカラーLEDを利用して残像絵文字を作れるのでは?と思い始めたのが残像との出会いです。

段ボールに先ほどのLEDテープを貼り付け、それに紐を取り付けて、くるくる回してみると残像が見えます。これがきらきライトの原型です。当時、GR-KURUMIを使いプロトタイプを作りました。

 

 

残像として綺麗に見えるかを確認するために、加工し易い段ボールで検証しました。手で回転させたときに段ボールが裏返ると残像が綺麗に見えない課題も見つまりました。

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がじぇるねチャレンジプログラムへの参加

作品をお披露目する場や開発期間を設定するのはとても重要です。仕事にも納期があるように、普段からいつまでに作るかを決めて取り組むようにしています。しかし自分の中で、仮に2か月後と設定してもずるずると計画変更をしてしまいがちです。そんなときに利用するのが、〇〇コンテストなどのイベントや展示会への参加です。外部イベントとリンクすることで、期間が明確になり、それに向かってやりきるしかありません。

今回は、「がじぇるねチャレンジプログラム」がマッチしました。入賞すると3Dプリンタが貰えるかもしれないのも魅力的でした。イベントへの参加は、商品・賞金もモチベーションアップにつながります。入賞すればクラウドファンディングへのチャレンジ権ももらえるとありましたが、本音を言うとあまりそこに魅力は感じませんでした。

イベントのお披露目には、デザインを強く意識します。流石に段ボールとテープLEDでは、恥ずかしいので、見栄え良く見える手頃なものを探しました。コンサート会場で利用される『おたく棒』が、サイズ感やLEDを入れる透明部分が丁度良く、お試し加工したところまとまった感じに仕上げることができました。

 

 

最初はフルカラーLEDテープを利用していましたが、LEDの間隔が広いと文字や絵が綺麗に見えません。狭い間隔にするため、オリジナルの基板を製造しました。そして、おたく棒の中に収めるために、3種類の別基板を製造して、筐体内に上手く入るように工夫しました。

 

いざお披露目となりましたが結果は2位。残念ながら3DプリンタGETならず・・・

 

 

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チャレンジへの迷い

2位でしたが、『クラウドファンディングにチャレンジしてみませんか?』との誘いがありました。

迷いました。チャレンジする場合、アドバイスや技術相談はルネサスエレクトロニクスが支援してくれますが、実際の作業や製作資金は基本的に自前です。アイデアだけ提供し、後はお任せというものではありません。私がチャレンジできるものか?チャレンジしていいのか?不安だらけでした。(ソフト屋なので)ソフトウェアだけなら作れるが、製品化なんて・・・。

本業と、クラウドファンディングを両立できるか自信もありません。下手するとどちらかを途中で辞める必要があるかもしれない。結局のところ、命を取られる訳ではないし、折角もらったチャンスなので引き受けることにしました。家内に相談し1年間の期限付きでOKをもらい、それなりの覚悟で挑むことにしました。

 

 

チャレンジに際して、現在のデモ作品を製品イメージとしてクラウドファンディングを開始することも可能です。もしかするとそれが普通なのかもしれません。私の場合は資金力も時間も限られることから、もう少し見通しがたって(重大な課題がある程度解決して)からチャレンジを開始することにしました。

当時一番の課題は、おたく棒の筐体デザインをどうするか?ということでした。

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金型とデザインについて

デモ作品は、おたく棒の改造品です。製品化を考えると改造したものを出荷することはできませんしコストもかかります。これを解決しないと先には進めません。オリジナルデザイン筐体が欲しいが、プロダクトデザインの勉強をしたことも、3DCADを使ったこともありませんし、デザイナーに依頼する資金もありません。

そこで、3DCADソフトを使い、自分でオリジナルデザインができるように勉強を始めました。デザインだけでは、実際のサイズ感や触り心地が分かり難いので3Dプリンタも合わせて購入しました。デザインして、3Dプリントして、手に取って、デザインして・・・の繰り返しです。

 

 

当時、どんな形が持ちやすいか、デザインとして良いか?3DCADの使い方と格闘しながら出力した印刷物です。写真中央の透明な部分は、ペットボトル整形前のプリフォームです。それを使うことを考えましたが、重量があり振り回すと危険なので却下しました。

 

3DCADには、Fusion360を利用しました。理由は、金型メーカーに提出するデータが出力できるから。条件付きですが、こんな素敵ツールが無料で利用できます。おかげで抵抗なくCADを使えるようになりました。これは私の財産です。

勉強と並行し金型メーカー数社に話を聞くことができました。自分でデザインしプリントしたものを持参して思いを伝えます。どうやら、金型には種類があり、簡易金型という少し安めの型というのもあるが、ショット数(最大製造数)が限られるそうです。それに、抜き勾配と言われる型に流し込んだ樹脂を取り出しやすくするための角度制限などもあり、単なるデザインだけじゃなくて、金型を意識したデザイン計算が必要であることも分かってきました。

気になる金額は、最終デザインが無いと難しいですが、大きさや筐体の部品点数で概算は出せそうとのことで、今回簡易金型でも40~50万ぐらいにはなりそうでした。

金型メーカーの訪問だけでなく、実際にペンライトを製造している大手メーカーへも直接出向きました。そこで利用している筐体をそのまま使わせてもらえれば、金型を作らずにコストを安くできると思ったからです。残念ながら、そのような関係になることはありませんでしたが、コストを抑えるために中国で製造する話などを聞くことができました。これらの会社と話ができたのは、手に取れるものがあったからだと思います。自分で動いて、モノをみせて思いを伝え、問題や課題を相談するとそこでヒントが得られます。自ら行動することの重要性を再認識しました。

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結局デザインをどうするか?

最終的に筐体を作らないことに決めました。一番の理由は、金型代を回収するだけの数量を販売するのは、難しいと計算したからです。高価格にするか、数を多く出荷しないと難しいことが分かってきました。

魅力あるデザインで、金型を使わないような筐体が作れないか調べたり、作ったりする日々が続きました。楽しくもあり、辛くもあり、この先どうしようか悩みました。レーザー加工による筐体デザイン、試作用にプロトラブズを利用してアルミ加工なども試してみました。

 

 

 

上:レーザー加工で作った木製きらきライト。実はきらきライトの“き”と“木”をかけて、MDFで組み立てるタイプも検討した。強度や重量、そして価格面からも厳しいのでお蔵入りした。下:アルミの切削加工(CNC)の削り出しで作ったパイプ接続部分。それなりの金額。

 

MDFをレーザー加工し製作したものは、完全オリジナルとして完成しました。Maker Faire Tokyo 2016でお披露目したので、見た方も多いかもしれません。見積もると一万円以上の金額になりました。一万円は切る価格を目指していたので、現状でできることはないか検討してみましたが、既存の設計では難しいことが分かりました。

悩んだ結果、筐体を諦めて自作してもらう方向に舵を切る決断をしました。DIYブームで3Dプリンタも割と使える場所が増えてきたことも考慮しての決断です。これは、今でも正しい判断だったか悩むことがあります。素の基板(きらきライト・コア)で渡すので、利用する人は制限され、ある程度DIYができる人となります。実は、この時点でプロジェクトを止めるという候補もありましたが、プロジェクトを前進させるために、エンジン部分だけを提供する形にしました。

結果として、利用しないことにした筐体デザインにかなりの時間を費やしました。

 

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デザインだけでなくユーザ評価

実際に動かせるものができたら、試しに一定期間利用してもらいフィードバックを受けたいです。「誰に?」というのがありますが、今はSNSを利用すると募集をかけやすいです。私はSNSで手を挙げた方と、勤めている会社の後輩に協力依頼しました。

 

 

実際に利用すると、ネジが外れたり、使用後に手が痛くなったり、多くの課題や要望がでました。ヒアリングと合わせて、アンケートフォーム(Google Form等)を準備して項目を埋めてもらうのも良いでしょう。課題は、期間やコスト面から見送らざる得ない項目もありますが、貴重な意見なので、分析・整理し今後に活用します。

評価した本体は、プレゼントするというのもありますが、返却してもらい、傷や状態を分析すると新しい課題が見える場合があります。他のやり方として、DMM.Make AKIBAなどのシェアファクトリの住人になることで、モノづくりに明るい方たちの意見が集めやすくなります。

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回路・基板設計

定格や品質のバラツキを考慮し設計する必要があります。デモ用の設計では、物理スイッチやピンヘッダ・ジャンパなどの定格はあまり気にしたことがありませんでしたが、すべてにおいて定格があるので注意します。定格が分からない部品を選定すべきではありませんし、供給年数なども注意して部品を決定します。実は、初期で利用していた赤外線のLEDがディスコン(discontinued)になるとのことで変更するはめになりました。

 

 

作った基板の一部。一番右がきらきライト・コアの最終基板。国内の有名基板メーカーも利用している海外のメーカー(JetPCB)に製造依頼した。簡単な試作や動作の確認は、中国のPCB製造サービス(FusionPCBElecrowPCBなど)に注文していた。

ルネサスエレクトロニクスとのレビューで、気づかされたことがありました。設定する抵抗値で電圧が変化する回路で、抵抗の許容差により、電圧が定格を下回る場合があることを指摘されました。対策として、許容差が小さい抵抗を利用することにしました。量産するときには、ロットの違いなどでばらつきが生じるので、許容差を計算に入れる必要があります。

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基板製造について

基板製造・実装するために国内業者に注文しました。中国製造も考えましたが、不安なので安全策を取ることにしました。業者と相談の結果、基板と部品の調達は私の方で手配し、業者には実装を行っていただくことにしました。

その時に、調達する部品で注意されたのは、基本的にリールもしくはトレイであること。某秋〇で販売されているようなビニールパックに入った部品は使えません。チップマウンターで、基板上に部品を置くので、自動で部品の取り出しができる状態のパッケージじゃないと難しいです。もし一般的なチップ部品(抵抗・コンデンサ)の場合は、実装する会社が持っていたりするので、見積もりの際に相談すると良いと思います。。

 

 

チップマウンターに部品を送る装置(テープフィーダー)。この装置にリールをセットすると部品が送り出されて、チップマウンターのノズルで部品をピックアップして、基板上に配置します。細切れの部品だと問題があるのはイメージできると思います。

実装依頼する基板は、ある程度の大きさに複数個面付けして依頼することになります。面付けの仕方が悪いと、Vカットの位置やサイズによっては基板が反って、最悪の場合実装できない場合もあるので不安な場合は相談するのが良いです。この辺の面付けノウハウが実装業者にはあることを知りました。実装する機械で基板の原点が認識できるように、原点マーク(フィデューシャルマーク)を配置する必要もあります。

今回、全実装する前に10個サンプルを作り、チェック後全実装する計画にしました。リール買いの都合で、部品の購入先も異なりますし、基板を作ったメーカーも異なるので、それらを組み合わせて上手く動くか不安でした。案の定、品番を間違えて注文し、高さが低いものになっていました。急遽、予定していた高さのコネクタを注文し大事にならずに済みましたが、余計な部品代はかかりました。実は、部品の注文では同じ部品を2重で注文したミスもあり、他にも痛い思いをしました。トリプルチェックぐらいする気持ちが必要です。

 

完成したきらきライト・コア。清涼菓子のFriskケースに入るサイズで設計した。残像に特化したLEDコントローラとしては世界初(自称)である。詳細は、クラウドファンディングサイトを参照。

さて、ここからはクラウドファンディングへ目を向けてみよう。

 

 

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クラウドファンディングをはじめる準備

この記事は、クラウドファンディング(CF)の手引書ではありません。細かい準備に関しては省略します。開始するには、「どこで」「いくら」「いつ」「なにを」は最低限決める必要があります。重要だと感じたポイントを以下にまとめます。

 

 

項目

重要なポイント

どこで

どのCFサイトを利用するか?国内・海外と合わせて、自分のプロジェクトにあったサイトを選択すべき。運営側が希望者を集めて説明会を開催することがあるので参加すると良い。運営サイト毎に得意分野や手数料(通常10~20%程度)に違いがあるので、比較サイトなども参考にしながら決めたい。

いくら

目標(ゴール)金額をどこに設定するか?製造原価を100%求める金額であったり、自分の原資に足りない金額を求めたり、利益を含めた金額を求めたり、プロモーションのために原価割れ前提の支援額にしたり、チャレンジャーの思いで決定できる。額が低ければ成功率もUPする。問題が発生する場合もあるので、運営側によっては、内訳を求められる場合もある。

いつ

開始日と募集期間を設定する。開始日は、なにかのイベントと合わせることができるとSNSなどで拡散してもらえる確率が高まる。ただし、イベント主催者側に予め相談は必要。期間も長ければよいというものでもないので、サイト運営者と相談するのが良い。

なにを

お礼の品を設計する。支援していただくために、魅力的なリターンを考える必要がある。私は、ハンドメイド品も入れたのだが、手間がかかり後悔した。もちろん、リターンとその支援額も合わせて設定する。

 

私の場合は、支援サイトがCOUNTDOWNに決まっており、悩む必要はありませんでした。もし、CFへのチャレンジを考えているならば、『どこで?』は、プロジェクトの成否を左右する重要な要素なので慎重に選択したいです。ネットの情報だけでなく、実際にお会いして話してみるのが良いです。会って話をするのは基本無料ですし、思わぬアイデアやアドバイスを得られる場合もあります。

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CF用動画

支援者は動画でその製品を判断するしかないので、製品と同じくらい重要です。どれだけ商品が良くても、その魅力が伝わらなければ支援は得られません。資金がゆるせば、是非プロにお願いしたいところですが、私は自分で撮影しました。他のクラウドファンディングの動画や、好きなCMシーンを参考にするのが良いと思います。出演するモデルを調整したり、製品が魅力的に映る場所を選定したり、映像を作るのも本当にクリエイティブな活動です。

プロに依頼するにしても、自分で撮影するにしても、下手だろうと最初は自分で撮影してみることをおすすめしたい。

今は高価な機材を準備する必要もなく、携帯のカメラで十分です。絵コンテの代わりとして、説明のネタにも使えますし、その下手な動画が思わぬ映像素材になることもあります。机上でいくら考えていても、動画は出来上がりません。下手でも実際に撮影して、編集して、チェックして、評価して、行動あるのみ。動画でお見せすることができませんが、夜景が綺麗な天王洲の屋外でおっさん3人がペンライトを振っている姿はレアです。

 

 

おっさん呼ばわりするのは大変失礼ですが、クラウドファンディング用の動画としては使えなかった思い出の写真です。(動画からキャプチャーしたので画質が悪い。)ご協力ありがとうございました。

残像を利用する作品とカメラは相性が悪い。

人間の目で綺麗に見えても、カメラを通して写真や動画で見ると綺麗に見えません。簡単に言うと、人間の目は騙せるが、カメラの目は騙されないということです。例えが適切か分かりませんが、カメラで7セグのLED(PWM制御)を見るとチラチラして見えるのと同じようなことが起こっています。『綺麗に撮れないな~』とSNS上でつぶやくと、アドバイスがもらえる便利な世の中になりました。特定機種のビデオカメラを使うと綺麗に撮影できる情報を得ました。それ以外の機種ではパラメータやシャッタースピードをいくら調整してもダメ(綺麗に見えない)だといいます。

 

  

 

上記は、動画で綺麗に撮影できない場合(左)と綺麗に撮影できた場合(右)のイメージ。シャッタースピードを合わせるだけでは綺麗に見えない。フレームとフレームの継ぎ目が綺麗につながらない。写真の場合は、シャッタースピードさえコントロールできれば静止画として綺麗に撮影は可能です。

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支援期間

この期間は、とにかく宣伝のために展示できるイベントに極力参加しました。ライトニングトークできる場があれば、紹介させてもらい、とにかく知ってもらうことに専念しました。

フライヤーも準備し興味ある方に配布しました。作り方さえ分かれば、部数の多い印刷は、家庭用プリンタよりも業者に依頼した方が、高品質・低価格で仕上がります。業者によっては、Word、PowerPointで作った資料でも仕上げてくれるので、illustratorがなくても大丈夫です。

 

 

上記はDMM.Make内イベントでの展示の様子。フライヤーを展示場所の横に置くことで手に取ってもらえる。説明要員が自分一人の私にとっては強い味方となった。

日々の支援金額を見ながら、製造の開始時期(できそうか?)を見極めます。CFの開始と同時に成功するようなすごいプロジェクトであれば、余裕を持ってタイミングを決められるが普通は違います。製造開始は、プロジェクト成功が確定した後からの手配でも間に合うようなリターンの時期設定を計画します。後々トラブルとならないためにも、少し余裕のある設定が良いです。

実施している時期の為替レートが気になりました。円安傾向で120円ぐらいをフラフラしてました。海外から調達部品も量があると結構金額が変わります。想定していた為替レートギリギリで大ダメージはなかったのですが、この期間で利用する部品の在庫量が変動し、安かった部品が倍近い価格になりました。海外からの部品調達の在庫・変動リスクはしっかりと計算に入れることが重要です。

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開発する仲間と応援してくれる仲間

今回開発メンバーは、私ひとりです。これは良い面と悪い面を兼ね備えています。

『ひとり=自由』

私が仕様を決め、私の思いでモノ作りができる。まさしく私のモノです。議論する時間を行動に充てることができます。途中で方向性が合わずに解散することもありません。逆に、独りよがりになり、間違った方向へ進んでしまう危険性をはらんでいます。分業ができないので、期間も長くなりがちです。どれが正解ということはありませんが、もし一人で作業するとしても相談できる相手は何名か欲しいです。試作の状態や、現状をネットにさらすことで得られるものもありますが、情報を全てさらすことにリスクもあるので、その辺をわきまえて相談できる仲間は絶対に必要です。モノ作り系のイベントに積極的に参加して、感度の高い人たちとつながっていたのは非常に助かりました。

 

 

開発する仲間は居ませんでしたが、先の繋がりにあるように今回のチャレンジを支援・応援してくださった方の声は励みになりました。モノ作り系のイベントに参加すると毎回来てくれる人(ファンと呼んでもいいかな?)もいます。そのような方の声に応えるためや、進化して驚かせたい思いがモチベーション維持につながりました。お金では買えない大切な仲間です。

実際のところ、家族にいろいろ手伝ってもらいましたが開発一人は厳しい。特にSNSでの告知やイベントでの説明が厳しかったです。自分で自分のPRは苦手です。イベント会場へ出席しての説明もその時間は、開発がストップしてしまうので限りある時間に限界を感じました。

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ソーシャルネットワークサービス(SNS)

今の時代SNSは無視できないツールです。口コミで物が売れたり、炎上したりします。自分のネットワークで、いくら告知してもそれは、自宅の中で騒いでいるに過ぎず、近所に聞こえる程度です。そして、いつも叫んでいるとうるさくて仕方ありません。この辺のさじ加減は非常に難しい。

自分と異なるネットワークで口コミしてもらえればと浅はかな考えもあり、展示できそうなイベントにはこまめに参加して、実際にモノをみてもらうようにしました。興味を持ってくれた方は、お客様になるであろうし、その人から告知してもらえるかもしれません。イベントに参加すれば、そんな方とのつながりも期待できます。実際にそんなつながりを持てましたし、ファンもできました。ただ一つ問題がありました。

きらきライトは、SNSで拡散し辛い製品なのです!

皆持っているスマホで「写真・動画」を撮影してくれるのですが、目で見える映像と比較すると綺麗に撮れません(CF用動画の章参照)。これは本当に辛かったです。「綺麗」、「不思議」、「驚いた」とつぶやいてくれそうなのに、それを綺麗にスマホの写真におさめることができないので説得力がありません。一眼レフカメラやコンデジを利用せずに、スマホで綺麗に撮影できるような仕掛けができれば、もうすこし有利に作業を動かすことができたかもしれません。

今の時代は、どれだけバズるかがCFの成否を大きく左右すると言っていいでしょう。そのトリガーとなるサプライズを考えるのはチャレンジャーです。利用CFサイトによっては、バズる方法を熟知しているところもあるので、運営側へ相談してみるのも手ですし、逆に提案してくれるかもしれません。

 

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梱包作業・最後に

製品が完成したら、それを入れるパッケージ(箱)をどのようにするかを考える必要があります。通販などで買い物するとほとんどは、何等かの箱に入った状態でさらに梱包されて配送されます。

今回配送費用はコスト計算に含んでいましたが、パッケージが計画から抜けてました。一般的な基板は、静電気防止袋に入れるので、それは意識してましたが、付属品など一式を納める箱までは考えていませんでした。見栄えするオリジナル化粧箱という選択肢もありましたが、デザインする期間もお金も無かった(総コストに入れてない)ので、市販の箱を急遽購入し、オリジナルのシールを貼ってパッケージとし発送しました。

 

 

※この箱の中に、静電防止袋に入った基板と付属品などが一式入っている。ただし、最初の早期支援者の方への発送は、箱まで間に合わなかったので、箱なしで発送したのは秘密。

 

最後の最後で、配送ミスとか内容物の誤りがあると困るので、ダブルチェックで最後の封をしました。しかし、梱包後に「あれ?」と不安になり再開封したものもありました。100個程度なので家族の助けでなんとかなりましたが、これが大量になるとかなり厳しかったと思います。

 

最後に

開発のきっかけは、クラウドファンディングへのチャレンジが目的ではありませんでしたが、2014年8月頃からプロトタイプの開発をすすめ、2015年1月頃に声をかけられ、2015年12月にクラウドファンディング開始し、2016年2末に成功し、2016年5月には全ての方への発送が完了しました。

改めて振り返ると長かった。約2年もその作品と向き合って開発したことになります。

 

※詳細な説明は避けるが、この2年間で参加したイベントや、ハッカソン参加やメディア掲載などを線表にしてみた。もしかしたら、記事を読んでいる方ともニアミスしている可能性もある。自分の時間も確保しながら、バランス良く?イベントに参加し新しい繋がりや仲間探しをした。

これだけの期間で作業していると、世の中の技術も進化し新しい技術やモジュールが販売され、一つのものに向き合っている自分だけが取り残されたような気持ちにもなります。そして、似たような製品情報も耳にし、気持ちの焦りも出てくるし、気分が乗らない時期もあります。ベンチャー企業のスピード感をうらやましく感じた時期もありました。ただし、そんなことを長く考えている余裕はありません。

先に進むためには自分で動くしかない。

開始間もない頃、ある方に話を聞いてもらい、自分の行動が足りてないことを知りました。『A社に連絡しても返事をもらえないだろうな』と自分で決めつけ行動に移せない消極的な自分がいました。考えを改め、返事をもらえるためにはどうすれば良いかを考え行動するようにしました。するとその時はダメでもだんだんと道が開けてくるものです。行動したことでチョットした変化や、きっかけで流れが変わったと考えられます。タイムリープ系の映画で、過去でいたずらすると未来が変わるみたいなものです。モノづくりも行動、プロジェクト推進も行動、人と繋がるのも行動、全てが行動それを思い知らされたのが今回のチャレンジでした。

チャレンジしたことで、さまざまな武器(強い・弱いは別として・・・)を得ることができました。3Dモデリング、基板設計(量産に必要な心得)、基板実装ノウハウ、写真・動画・編集技術向上、フライヤーの作成・注文、切削加工の外注方法など、システムエンジニアとして普通の会社員をしている限りは味わえない経験をすることができました。これは、私の貴重な財産でありクラウドファンディングにチャレンジしたからこそ、身に付けられたものです。その中でも一番は『人とのつながり』です。つながりがなければ、最後まで続けることは難しかっただろう。支援者の方や、出会ったモノづくりの仲間には心から感謝しています。

 

以上

飯島 幸太

本職は現役のソフトウェアエンジニア。
医療システム開発や音響系組込みシステム開発に従事。
ハードウェアや工業デザインは趣味という。技術雑誌への寄稿など教育分野へも積極的に行う。
リアルなつながりを求めMaker Faireやスタートアップイベントなどにも多数参加している。
https://www.facebook.com/iijima.kota
http://blogs.yahoo.co.jp/carcon999
https://twitter.com/carcon999

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