作品タイトル:GR-KURUMIを使った小さな時計
表示名:@takjn
コンセプト・作品説明 |
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「がじぇるねを毎日持ち歩く」がコンセプトです。小型で低消費電力、RTC内蔵というGR-KURUMIの特徴を生かして腕時計を作りました。 通常時は画面を消灯してスリープモードで動作することで消費電力を抑えます。ボタンを押すとスリープから復帰して時刻を表示します。使い方によりますが、CR2032ボタン電池を利用することで2か月から3か月ほど動作します。 時計の機能としては時刻表示のみです。カレンダーやアラーム機能などもありませんが、ソースコードを公開していますので皆さまで自由に機能拡張してください。 |
はじめに・注意事項
GR-KURUMIはがじぇるねの中で最も小型なボードです。中身は高性能で見た目も可愛いボードですが、PCと直接接続するためのUSB端子が無かったり使い方に関する情報が限られていたりしますので、電子工作が初めての方が使うことは難しいと思います。初めての方はGR-COTTONやGR-SAKURAなど他のボードで練習をしてからGR-KURUMIにステップアップすることをお勧めします。
本作品はブレッドボード上でも作ることができます。写真のような小さな時計を作る際もあらかじめブレッドボード上でプログラムの書き込みと動作確認をしておくことをお勧めします。
プログラムの書き込みで使うUSBシリアル変換アダプターは、5V/3.3V切り替え機能付きのものを使いVCCに3.3Vを供給してください。5Vのものを使うとOLEDが壊れる可能性があります。
プログラムの書き込みではIDE4GRを使います。IDE4GRのインストールやIDE4GRを使ったGR-KURUMIへのプログラム書き込み方法は、GR-KURUMIのホームページで確認してください。
回路図・部品表
回路図
部品表
部品 | 個数 | 備考 |
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GR-KURUMI | 1 | 長い方の辺にあるスルーホールにピンヘッダをハンダづけして使います。 |
0.96インチ SSD1306 I2C OLEDモジュール | 1 | aitendoやamazonなどで購入できます。表示色は青色と白色があるようですがどちらも動作は変わりません。お好みで選んでください。購入元により端子の配置が異なることがあるため、配線時には実物の端子と回路図を良く確認してから接続してください。 |
タクトスイッチ | 3 | 2本足のものを使います。 |
電子ブザー (省略可能) | 1 | 3Vで動作するものを使います。省略しても時計機能には影響がありません。 |
補足事項
ブレッドボード上でのプロトタイピングではなく、冒頭の写真のような小さな時計を実際に作ってみる場合は以下の点にもご注意ください。
- 上記のほかに、ユニバーサル基板やロープロファイルのピンソケットなども必要となります。後述する小さな時計の作り方をご確認の上、必要となる部品をご用意ください。
- GR-KURUMIの端子のうち、USBシリアル変換アダプターを接続する端子(短辺にある6pinのスルーホール)にはピンヘッダをハンダ付けしないでください。
- 消費電力を抑えるため、GR-KURUMIのP1をカットして電源LEDを消灯してください。
- タクトスイッチは縦型のものを使います。
- 電子ブザーは表面実装型のものを使います。
- 電源はお好みで3V前後の電源を用意してください。写真の作品ではリード線付きのCR2032を使っています。
ブレッドボード上でのプロトタイピング
(1) ハードウェアの準備
回路図と写真を参考に、ブレッドボードに配線・部品を配置します。配線は長めのジャンパーワイヤーを必要となる長さに合わせてカットして使います。GR-KURUMIのJP8(赤い部品)は、OFFに設定してください。
配線が終わったら、USBシリアル変換アダプターを使ってGR-KURUMIとPCを接続してください。接続の際はUSBシリアル変換アダプターのVCCが3.3Vになっていることを確認してください。
(2) ソフトウェアの準備
以下からプログラムをダウンロードして、PCの任意のフォルダに解凍してください。
https://github.com/takjn/KurumiWatch/archive/master.zip
IDE4GRを起動し、解凍したフォルダ内のKurumiWatchフォルダ内にある "KurumiWatch.ino" を開いてください。マイコンボードでGR-KURUMIを選択し、適切なシリアルポートを設定してから、[マイコンボードへ書き込む]ボタンを押してGR-KURUMIへ書き込んでください。
(3) 動作確認
書き込みが完了すると自動的に実行されます。GR-KURUMIの2ピンに接続されているタクトスイッチ(写真では一番右側のボタン)を押してください。Sleepモードから復旧し、現在時刻が表示されます。GR-KURUMIの3ピンに接続されているタクトスイッチ(写真では真ん中のボタン)を押すと、現在時刻の設定などを行うためのメニューが表示されます。
ボタンを押しても何も表示されない場合は、GR-KURUMIのリセットボタンを押してみてください。また、OLEDモジュールの電源が正しく接続されているか確認してください。OLEDモジュールは購入元により端子の配置が異なることがあるため、この記事に掲載している写真の通りに配線しても動作しないことがあります。
小さな時計の作り方
配線
ユニバーサル基板上に部品を配置して回路図通りに配線します。写真の作品では、秋月電子通商で販売されている極薄(0.3㎜厚)のユニバーサル基板をハサミでカットして利用しています。ヘッダピンなどで基盤の外側にはみ出た部分は、高さを抑えるためにカットしてからハンダ付けします。電子ブザーは接着剤などで基盤に固定してからハンダ付けをすると部品がずれなくなり楽にハンダ付けができるようになります。
配線は通常のワイヤーではなく0.29mmのポリウレタン銅線を利用することで厚みがでないように工夫しています。被膜があるため基本的には線が重なってもショートすることはありません。ハンダづけの際は接続部分の被膜をハンダごての熱で溶かしてから使います。
GR-KURUMIのJP8(赤い部品)はONに設定し、RAW端子に電源を接続します。
OLEDの固定
見栄え良く部品を配置するために、OLEDのピンを少し曲げたうえで先端部分をカットして利用しています。OLEDはロープロファイルピンソケットを介して基板に接続し、取り外しできるようにします。OLEDとGR-KURUMIの間には厚手の両面テープを張り、部品の固定と絶縁を行います。
ストラップ(ベルト)の固定
時計のベルトは、NATOストラップ(NATOベルト)と呼ばれるタイプのものを利用します。幅は色々ありますのでお好みで選んでください。写真の作品では22mmのものを利用しています。ストラップを固定する方法は写真を参考にしてください。細い針金を使ってストラップを通す金具を作り、そこにストラップを通して固定します。
本職はWeb系のソフトウェアエンジニアをしています。
ハードウェアは素人です。電子工作は趣味として楽しんでいます。
ソースコードはGitHubで公開しています。Pull Requestもお待ちしています。