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作品タイトル:GR-KURUMIを用いた福祉機器の製作 - 光プローブを例に -

表示名:榊 守

GR-KURUMIを用いた福祉機器の製作 - 光プローブを例に -

コンセプト・作品説明
盲学校の子どもたちは太陽の位置の認識およびデンプンのヨウ素液反応などの理科実験において、明暗によって出力音が変化する「光プローブ」を使用しています。光プローブ(感光器)は一台5万円以上と高価なので、児童・生徒に個人所有させることは難しいようです。

キット化した光プローブは「GR-KURUMI」を用い、5千円程の部品費で製作できます。そのため、個人で所有でき、卒業後の日常生活でも利用できます。

検証・評価の結果パソコン画面や部屋の照明のon・offの認識に有用のようです。仏壇などでのロウソクの炎の位置確認、白杖へ取り付けて横断歩道の白線認識などへの活用も期待されています。
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主要部品

  • GR-KURUMI  \2,200
  • GHAハンドヘルドプラスチックケース
    タカチ電機工業 GHA4-3-11PB \440
  • 小型のリチウムイオン電池充電器
    SFE-PRT-10401 ¥990 円
  • リチウムイオンポリマー電池110mAhSFE-PRT-00731 ¥600
  • 電線対基板用ハウジング 2P
    Molex(モレックス) 5051-02
    千石電商で ¥30
  • 電線対基板用ハウジング 3P
    Molex(モレックス) 5051-03
    千石電商で¥30
  • ミニスライト6Pセンタオフ 今川電子 0695-00
    マルツパーツで¥110
  • 圧電スピーカー 秋月電子P-04118   \30
  • フォトICダイオード S9648(5個入)
    浜松ホトニクス(秋月電子で [I-03825] 1パック ¥400)
  • 低損失CMOS三端子レギュレータ 3.3V50mA
    [S-812C33AY-B-G]セイコーインスツル
    (秋月電子でI-03289  1パック ¥100)

 

そのほか スイッチ取り付け用のM2ネジ、ICソケット、基板固定用タッピングネジ、ポリエチレン製のワッシャーなども使いました。

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構造

 

フォトダイオード

 

 

視覚障がいのある子どもたちが 少しでも自分で組み立てた実感を持ってもらうために、主要部品やコネクタは差し込んで接続・組み立てが出来るようにしています。

 

 

試作段階では手作業にてUSB差し込み穴、スイッチ穴を開けていたものの、手工具での加工には限界がありました。

そこでレーザー加工機(Oh Laser )を導入。一気に加工精度の向上と時間の短縮が実現しました。 

 

 

CADデータ 穴の細かい寸法は省略しました。
CADデータ:sakakiGHA4-3-11.dxf [ダウンロード]

 

 

レーザー加工直後、1.6mmアクリル板を使用。

 

 

ケースのCADデータはタカチ電機工業からダウンロード
ミニUSBの形状はRS Componentsからダウンロード
 RS Components> Connectors > USB, D-sub & Computing > Mini USB Connectors
CAD(図脳WinCAD)で側板を再設計
 →Auto Cadファイルへ変換
 →さらにCorel Drawファイルへ変換
 → Oh Laser HAJIMEへ

 

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回路図

フォトダイオードは浜松ホトニクス製です。以前はフォトトランジスタ+スマートアナログの構成で試作していましたが、最後は これに落ち着きました。

明るさを電圧として、GR-KURUMIのA3ポートへ。

回路図の設計にはDesign Spark PCB 7.1を用いています。

3端子レギュレータはフォトダイオードに印加する電圧を一定にするために用いています。

電源には装置の軽量化と小型化のためリチュームイオン電池を採用しました。

 

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プログラム

赤色のデータが屋外モード、青色データが屋内モードです。6Pスイッチにて切り替えできるようになっています。プログラム中の関数の変数の値を変えています。

関数とその係数を決定するのが試行錯誤でした。改良の余地も多く残っています。

屋外モードでは、高照度下でも音階が変わるので、小学校低学年の理科で学習する、陽当たりの場所と木陰を認識できます。 

 

 

フリーソフMaximaでグラフを描き最適な関数とその係数をシュミレートしました。

 

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コード

No.1

/*GR-KURUMI Sketch Template Version: V1.06*/
// sirial–³‚µ//
#include 
	int scaleA[]={28,29,31,33,35,37,39,41,44,46,49,52,
	55,58,62,65,69,73,78,82,87,93,98,104,110,117,123,
	131,139,147,156,165,175,185,196,208,220,233,247,
	262,277,294,311,330,349,370,392,415,440,466,494,
	523,554,587,622,659,698,740,784,831,880,932,988,
	1047,1109,1175,1245,1319,1397,1480,1568,1661,1760,
	1865,1976,2093,2217,2349,2489,2637,2794,2960,3136,
	3322,3520,3729,3951,4186,4435,4699,4978,5274,5587,
	5920,6272,6645,7040,7459,7902,8372,8870,9397,9956,
	10548,11175,11840,12544,13290,14080,14917,15804,
	16744,17740,18795,19912,21096};
int led_red   = 22; // LOW active
int led_green = 23; // LOW active

No.2

int scaleno1=0;
int sp = A3;
int scale=1;
int j=0;
int sw=0;
int scaleref=1;
double p=0;
double m1=0;
double m2=0;
double m3=0;
double marin=1;
double yuki=350;
double kei=116;

void setup() {

  //Serial.begin(9600);

  pinMode(sp, OUTPUT);
  pinMode(A0, INPUT);
  pinMode(A2, INPUT);
  pinMode(led_red, OUTPUT);
  pinMode(led_green, OUTPUT);
  analogReference(INTERNAL); 
  int indata = analogRead(A0); 
}

No.3

void loop() {
    sw=digitalRead(A2);
    if(sw==0){     
        digitalWrite(led_red, 0);
     	digitalWrite(led_green,1);
     	yuki=120;
     	marin=1.5;
     	kei=116;
    }
    else{
        digitalWrite(led_red,1);
        digitalWrite(led_green,0);
        yuki=80;
     	marin=3.0;
     	kei=116;
    }

No.4

int total=0;
for(j=1;j<=5;j++){          //5回分合計
	int indata=analogRead(A0);    //A0番ピンからの値をaに代入    
	double p=indata;

	m1=-1*p/yuki;
	m2=pow(marin, m1); 
	m3=kei*(1.0-m2);
	int m4=m3;
	total=total+m4;      

	tone(sp,scale);
	scaleno1=(3+total/5);      //5回分のデータの平均

	if(scaleno1==scaleref){      //scaleno1とscalerefが等しいとき
		tone(sp,scale);
	}
	else
	{
		scale=scaleA[scaleno1]; //scaleAのscaleno1番目の周波数をscaleに代入
		scaleref=scaleno1;       //scaleno1をscalerefに代入
		noTone(sp);
		//  tone(sp,scale,0);
	}
}

 

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プリント基板の作成

プリント基板 (GNDベタパターン)

 

 

基板は設計はDesign Spark PCB 7.1を用いました。習得に時間がかかりましたが、老化防止のための修行です。

プラスチックケースGHA4-3-11PBに回路を組み込むので基板のドリル穴データー(寸法単位mm)はタカチ電機工業からダウンロードして入手です。なお、PCBの設計単位[mil]との換算が必要となります。

 

 

プリント基板製作は50枚も100枚でも価格はさほど変わらないです。
検証と評価をしていただいた全盲の方々に光プローブをプレゼントします。

ガーバーファイル:2015@7@13C - Bottom Copper (Paste).zip [ダウンロード]

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動画

紙面上の明暗認識

室内の明暗認識

屋外の明暗(木陰)認識

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終わりに

2016年2月現在、プロトタイプをリハビリテーションセンターにおいて全盲の成人の方を対象に各人一週間ほど使用していただき「福祉用具満足度評価」を終えたところです。

自由意見として

  • 「iPhoneの感光器アプリもあるので使うが、こちらは“すぐに”使えるのが良い」。
  • 「臨床室で最後一人になり、照明のON/OFFを確認しなければならないとき有効だった」。
  • 「家でPC画面に向けるとON・OFFが判る」

など日常生活においての有効性も示されていました。

まだ、装置の改良箇所はあるのですが、この記事を機に 福祉機器製作にも関心を持って頂けましたら幸いです。

榊 守
  • 北海道生まれ、50歳をとっくに過ぎてしまった大吟醸好きの普通のお父さんです。2000年に釧路から茨城に転勤してきました。大学の研究室のボスとして働いています。正に、光陰矢の如し、引っ越してきたとき小学校に入学した息子(写真左)は研究室の学生さんと同い年です。
  • 近所にある県立盲学校と附属特別支援学校との交流などを通して、人として大切なことを、表面改質の研究を通して物性を学生さんと共に学んでいます。
  • 最近、障がいのある生徒が使うiPad用スイッチデバイスのインターフェースをGR-KURUMIで作れないだろうかと思案中です。自分の片方の手は人に喜んで頂くために使いたいものです。
  • 写真は2014年12月のルネサスナイトの終了後、研究室の清一君(写真右、4月からは院生)と息子を交えての下北沢の居酒屋での反省会です。
  • 最近、kindleアプリで電子書籍を読むことを覚えました。通勤時間の楽しみができました。

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